ということで、「BPMビート・パー・ミニット」批評、いってみよーーーーーー!!!!
[あらすじ]
・「パリ20区、僕たちのクラス」などの脚本家ロバン・カンピヨが監督・脚本を手がけ、エイズ活動家団体ACT UPのメンバーだった自身の経験をもとに若者たちの恋と葛藤、人生の輝きを生き生きと描き、2017年・第70回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した青春ドラマ。・1990年代初頭のパリ。エイズの治療はまだ発展途上で誤った知識や偏見が横行する中、ACT UP Parisのメンバーたちはエイズ患者やHIV感染者への差別に対してさまざまな抗議活動を行っていた。行動派のメンバーであるショーンは、HIV陰性でありながら活動に参加しはじめたナタンと恋に落ちる。・しかしショーンのエイズの症状は次第に顕在化していき、ACT UP執行部に対して批判的な態度を取るように。そんな彼を献身的に介護するナタンだったが……。・出演は「グランド・セントラル」のナウエル・ペレーズ・ビスカヤート、「ブルーム・オブ・イエスタディ」のアデル・エネル。
監督はロバン・カンピヨさん
フランスの監督さんです。
監督作は見てないのですが、脚本で関わった「プラネタリウム」という映画は見たことあります。
そこで感じた印象は、観客に共感を与えようとしない、キャラクター達の中だけで物語が完結してるというか、非現実的とも思える世界観を崩さないというか、、、
とにかく、「どういう気持ちでこの映画を見たらいいんだ、、、」という想いがひしひしと伝わってくる、非常に独特な作風だと思いました。
フランス映画ということもあり、誰も知らない俳優、スタッフさん。非常に未知な体験でございます。
ちなみにですね、原題は120 battements par minuteとなってまして、battementsはフランス語、英語に直すとbeat。つまり、120 beat per minuteですね。
beat per minuteは、1分間に刻むリズムの数
だから何なんだよ(`ε´)
それでは映画の感想でっす!!!
[映画の感想]
BPM120で駆けていく若者の愛と青春の鼓動を目の当たりにせよ!!
[最初から最後まで圧倒されっぱなし]
今作は90年代のフランスでエイズ患者が起こした社会運動を描いた話で、監督も実際に社会運動に参加していた経験が元になって、この映画を作ったみたいです。
社会運動というのは、エイズ患者の偏見や差別をなくす街宣デモだったり、エイズの新薬を早く作るように製薬会社に求めたりする抗議活動であったり、観客という立場で客観的に見たところ、かなり過激な活動家だなぁという印象。
実話ベースということですね。それにしてもこの映画、、良い意味で凄くヘンな映画でした。普段日本映画をよく見ているせいなのか、これまで観客に共感を求めない映画も珍しいと思いました。
とにかく変わってるんだよwww
まずですね、オープニングから抗議デモのミーティング風景が流れるのですが、そのシーンがずーーーとずーーーとずーーーと流れてるんですよ。10分以上は続いたと思います。
ミーティングでのやり取りから、だんだん主人公とその周囲の人間関係や映画の目的を探っていくようなスタイルなのですよ。
こういった演出をすることによって観客もミーティングに参加せざるを得ないというか、映画の中に入り込むことでしか内容を理解できない作りになっているんだと思います。
ただ、いきなり何も知らないミーティングに参加して、話を理解したり人間関係を理解したりするの、すっごく難しいですよ(ノ_・。)
観客置いてけぼりって感じのオープニングからスタートするんですね。
その後も主人公のショーンくんとナタンくんのゲイカップルにフューチャーしたシーンになり、仲睦まじきトークからの綿密なセクースシーン、ピロートークもついて、2人が濃厚に絡むシーンがずーーーとずーーーとずーーーーーと流れる。
このシーンもですね、正直観客置いてけぼりで、2人の中だけで物語が完結しているのです。
つまるところ、極端に場面転換が少なく、感情の演出も控えめで、まるでスクリーンの奥にキャラクターがいるかのようなリアルなシーンがずっと流れる。
うまく説明できてるかどうか分からないんですが、エイズ活動家以外の視点で物語が描かれることはなく、その人たちの生きた証を散々見せられているという感じでした。
・・・ここまで説明してきて何となく分かると思いますが、評価の甲乙がつけがたいんです。
だって共感はまずできないというか、この人たちの生きた証をまじまじと見せつけられたなぁというか、、、
例えばですね、同じエイズ患者で社会に対して抗議活動を行った映画「フィラデルフィア」 これとは全く作風が違うんですよ。
エイズ患者を1人の名優に絞り、彼1人にエイズの辛さを代弁させるのではなく、今作では多くのエイズ患者、活動家それぞれが主人公となって、映画の中で奮闘し、強調して、抗議活動に明け暮れる。
最後の最後のシーンでは、誰もが共感できないであろう驚きの結末が待っています。
頭の固い常識人が見たら、怒りのあまり映画館を出て行ってしまうのではないかってくらいww
ただですね、この共感の出来なさ具合がむしろ良い味を出してると思うんですよ。
原題の120BPMという言葉をもう一度思い出してください。
運動したり興奮状態にならないとBPM120にはならないわけです。ただ座ってる観客は絶対にBPM120になるわけがない。
映画の中のエイズ活動家はというと、BPMが120になるくらい激しく抗議活動し、セックスに明け暮れ、喧嘩をして。とにかく激しい。
映画のキャラクターBPM:120と観客のBPM:60とでは、リズムが合いません。でも、それをどう観客が埋め合わせするかが映画の見方の真骨頂というか、どう工夫するか何だと思いました。
うーん、最後の最後まで難しい評価ですな。だってこれが俺の本音なんだもの!!
むしろですね、エイズ患者でもなしに活動家でもなしに「共感しました!」って感想書いてる奴は絶対に信用しちゃダメですよ(ノ_-。)
他人の人生を追体験することが映画の醍醐味ではあるのですが、脚色も過度な演出もない本当にリアルな他人の人生を受け止めてください。そうすれば、映画が良いとか悪いとか点数とか評価付けられないっすよ。。。